だが、女性に関係する記憶は幼少時代を含めてすべて苦いものでしかない。それゆえ、相手から嫌悪されるように仕向けるか、こちらから遠ざけるか、自分の行動には選択肢が2つしかない。
そして今。
今年、院卒のかわいい女の子が入社してきた。
あいにく希望分野の仕事が薄く、教育と称して自分のところに配属されそうになった。
院卒とはいえIT初心者なので即戦力にはならないし、彼女が強く希望する分野は自分の現在の業務と全く異なる。そこで「来て貰っても彼女の将来のためにはならない」という幾度かの控えめな意見のあとで、少し無理して仕事を前倒しで進めて「こちらにも仕事はない」と断ってしまった。
無垢の新人こそ早いうちに様々な業務を経験させるべきであり、自分の行動は組織の構成員として、特に技術指導をするべき立場の人間として許されるものではない。だが、当人が女性であるという一点が、正論を受け入れられない障壁となっている。
早晩、自分は組織から放逐されるだろう。その時、新たな人生を楽しむだけの余力が残っているだろうか?
また外を見る。雨は一日中降り続くだろうが、下らない思考回路を断ち切るため、外出することにした。
2006/5/13